理事長所信

ishikawa.jpg

第32代理事長石川芳章君 所信

~RESTART~ 

地域、そして日本の未来は我々の手で!

 

【大震災で被災した者として】

2011311日午後246分。私は宮城県の沿岸部にある「塩釜」という港町で被災した。はじめは普段よくある地震と何ら変わりのない揺れであった。しかしその揺れは一向に止む気配もなく、突如、轟音と共にこれまで経験した事のない激震へと変わる。階段を転げ落ちるように外へと避難し、命からがら難を逃れた末に待っていたのは、「大津波警報」。避難を知らせる防災無線が繰り返し町中に響き渡る中、私は周りの仲間と共に無我夢中で裏山へと避難した。「助かった」そう実感しながら雪が降りしきる高台で、寒さに耐えながらまちを見降ろしていたその時、想像を絶する大津波がまちに押し寄せ、瞬く間に「塩釜」のすべてを飲み込んでいった。今でも信じがたい、目を覆いたくなるその光景は、まさしく「地獄絵図」であった。暗闇の中、幾度となく襲う余震と寒さに耐えながら一夜を過ごし、勇敢な仲間のサポートを受けながら有り難い事に、翌日の夜半には家族のもとへ無事に帰る事が出来た。そして我が家で待つ家族の顔を見た瞬間、「自分が今、生きている有難さ」そして「家族が生きてくれている有難さ」を実感し、涙が込み上げて来たのを今でも鮮明に覚えている。しかしその思いとは裏腹に「自分は本当に帰って来て良かったのだろうか?その場に残り復旧に努めるべきだったのでは?」そんな罪悪感にも似た感覚に激しく襲われ、自分が目にした光景、そして目にした被災地の人々の事を想うと、居ても立ってもいられなかった。

 

その日から「生かされた者の使命」 その使命を自分自身に問いながら今を生きている。

 

【今を生きる責任世代としての使命】

私たちは震災直後から、被災された方々のメンタル面のサポートや、「物資」という形で多くの市民の想いを現地に届けるなど、これまで復興の支援をさせていただいた。こうした「被災地の為に少しでも役に立ちたい」という多くの想いは様々な行動となり、これまで日本全国はもとより、世界から被災地に向けて様々な想いが寄せられて来た。

被災地では目を覆いたくなるような状況の中、日本人として誇りをもち、秩序を守り互いに支え合いながら復興に立ち向かう人々の姿を、私は現地で幾度となく見て来た。その姿は、諸外国からも高く評価され、本来私達の持っている高い精神性を再確認すると共に、そうした一連の報道に日本人としての「誇り」を感じた。そして日本の持っている底力を痛感し、「時間はかかるかもしれない、しかし必ず復興できる」と私は確信した。

これまでの歴史が物語る通り、戦後の焼け野原から奇跡的に復興を成し遂げたのも、先人達の「豊かな国の実現」を自分達の使命として行動して来たからこそ、日本は世界と肩を並べる大国に成長した。その先人達が背中で教えてくれた通り、我々には「果てしない可能性」と「未来を切り拓く力」を日本人のDNAとして誰もが秘めているのだ。震災という大きな歴史の変り目を迎えている今、私たち責任世代が「日本の復興は我々一人ひとりの使命である」という気概をもち、自らの持っている可能性を信じて、未来を切り拓く力を存分に発揮し、日本の未来を見据えた中で、しっかりとこの地域を考えて行動していこうではないか!

【地域と共に切り拓く復興支援】

日本人としてプライドを持ち、「All Japan」の精神で復興と向き合う事が、今を生きる我々の使命である。その中で「さやま」という地域に暮らす者として担うべき事を見出し、被災地に笑顔と夢を届け共に未来を切り拓く為にも、今この地域から出来る事を精一杯取り組んでいこうではないか。これまでの支援を振り返る中で、日々変化し続ける「本当に必要とされる支援」を行う為には、現地で活動されている人々との連絡を密に取りあう事が「本当に必要な支援」に繋がっている。その為にも支援地域を定め、関係性をしっかりと構築する事から始めよう。またその支援は長期に渡り実施して行く事が不可欠であり、我々だけの力で支援するのではなく、地域・行政・諸団体としっかりと連携を図りながら効果的、かつ継続的に実施し出来る仕組みを構築する必要がある。そして復興を我が事として捉え、風化させない為にも、こうした活動を広く周知していこう。

また震災での教訓として「地域コミュニティー」が確立されている地域は非常に早く復興を遂げている。名栗から都内へと繋がる立川断層帯を有する地域に住む私達にとっては、今回の震災は他人事では済まされない地域である。こうした状況をしっかりと認識すると共に、この地域で生活する人々と共に「防災」という観点で改めて「地域コミュニティー」を見つめ直し、地域の防災基盤を強化していく中で、地域の未来を切り拓いていこう!

 

【未来を共に切り拓く仲間を】

右も左も判らずにこの狭山に移り住み毎日を過ごしていた時、有難くもご縁をいただきこの組織の門を叩いた。私の入会した目的は「多くの仲間を作りたい」ただその一心で入会し、様々な出逢いの機会をいただき、今も尚、その機会は大きく広がっている。青年会議所は「自分が欲している機会はすべてある」と言っても過言ではない。そしてその機会を通じて自分自身に前向きな変化を起こし、自分の未来ばかりでなく、地域の未来をも切り拓いていく運動である。まずは私達メンバーがこの運動を通じて自らに前向きな変化を起こし、自分自身の未来を切り拓いていこうではないか。

震災による経済的な打撃がこの地域でも出ている状況の中、「こんな厳しい時代にJCをやっている場合じゃない」そんな声が聞こえて来る事もしばしある。果たして本当にそうなのだろうか。厳しい時代だからこそ、様々な人脈のネットワークを広げてアンテナを張り、同世代を生きる多くの若者の価値観に触れる中で、自身の感性を磨き上げる。そうした自分づくりが大切なのではないか。待っていても何も変わらない。時代の変化に即したアクションを起こす為にも、自分からチャンスを掴みに行く事が必要なのではないか。そうした機会を、この地域で活動する多くの若者に触れてもらう為にも、まずは相手のニーズに合わせた機会を提供し、共にこの地域の未来を切り拓いていく仲間を増やしていこう!

 

【機会を活かし人材の未来を拓く

 私に青年会議所活動の面白さや魅力を教えてくれたのが「出向」である。入会して間もないころ、有難くも時の理事長より「出向」という機会をいただいた。新入会員にも関わらず大役をいただき、その期待にしっかり応えようと分からないなりに懸命に努力し、多くの先輩にサポートされながら一年間職務を全うさせていただいた。その出向先での経験は本当に有意義なものであった。「さやま」という活動フィールドを外から見る経験や、県内・県外で活躍するJAYCEEと共に切磋琢磨した経験、様々なビジネス観を持った魅力ある仲間との出逢いなど、時間を費やすリスクはあったものの、その時間を費やすに値するだけの価値と、自分自身を大きく成長する事が出来たと実感している。

そして本年、公益社団法人日本青年会議所委員長輩出という貴重な機会をいただいた。これまで32年の狭山青年会議所の歴史の中で初めての機会であり、これまでの先達の活躍があったからこそ、こうした機会をいただけたのだ。日本という大きなフィールドの中で、様々な経験ができる絶好の機会をいただいた本年、LOMを挙げて全力でバックアップしていきたい。そしてこれからの未来を担うメンバーに、この大きなフィールドで活動する中で、LOMでは経験できない事を存分に味わってもらい、青年会議所の面白さや魅力を堪能し、自身の成長に大きく繋げて欲しいと願っている。人の成長が組織の成長へと繋がり、この地域の発展に必ず繋がって行く。未来を切り拓くJAYCEEを育てていこう!

 

【地域共育が子ども達の未来を切り拓く】

これまで右肩上がりだった成長社会から成熟社会となり、今では超成熟社会とも言われている現在、人々の価値観が多様化する中で問題は更に複雑化し、一つの答えで解決できる問題ばかりでなく、これまでの常識では到底考えられない問題も起きている。そんな社会を子ども達が力強く生き抜いて行く為には、社会がいかに変化しようとも、その変化に対応し、自分自身の価値観に照らし合わせ、自ら答えを創り出す力、すなわち「生きる力」を身につける必要がある。そうした資質を身につける為には、現在の学校教育だけで補完する事は難しいであろうし、むしろ地域が得意とする部分なのではないか。そして何より大切なのは、教育をその時々で変化する国の方針や学校現場だけに任せるのではなく、私たち地域の大人が自ら当事者意識を持ち、「地域の子ども達は地域の手で育てる」という地域共育の基本的な理念に立ち返り、子ども達としっかりと向き合う事が大切である。幸いこの地域には子ども達と向き合い、活動している大人や団体が数多く存在している。そうした繋がりを更に深め、学校と連携する中で、それぞれの持っている強みを活かす事が出来れば、子ども達の「生きる力」の育みに繋がるはずである。その為にも、まずは我々がプラットホーム的な役割を果たす中で、家庭・地域・学校と連携を図り、地域共育についてしっかりと議論し、地域の大人たちが繋がりを持てる機会を創出する事で、子ども達の未来を切り拓いていこう!

 

【最後に】

戦後の焼け野原を目の当たりにしながら、先達は「新日本建国は自分達の手で」と強い念いを胸に立ち上がり、多くの同志と共に幾多の時代の荒波を乗り越えながら、「明るい豊かな社会の実現」を信じてこれまで運動して来た。「戦後」という一つの時代の節目が、「震災後」と変わりつつある今こそ、「日本の復興は我々の手で」という念いを胸に、私たちの手でこれからの未来を創っていこうではないか!今こそ自らの持っている可能性を信じて、共に未来を切り拓く力を存分に発揮していこうではないか!

得体の知れない閉塞感や疲弊感など早々に脱却して、顔を上げ、大いなる期待感に心を躍らせ、共に肩をたたき合いながら、一生に一度しかないこの青年期を、同志と呼ぶにふさわしい仲間と共に、地域の未来を、そして日本の未来を切り拓いていきたい!

 

それが今に生かされた1JAYCEEとして、私が出した答えである。